マーク・スチュウがあの激ヤバパートのこと話すってよ

2019.11.13

Spotをご覧のスケーターのみなさま、Captain Cap Jです。数年前まで海外のスケート記事を翻訳したりするブログをやっておりました。本名で「根っこは何処へゆく」というスケボーと尺八のドキュメンタリー映画を作りました。DVDと書籍発売中です。よろしくどうぞ。

今回は公開された瞬間に2019年のSOTY確定と言っても過言ではない、マーク・スチュウ大先生による11分半にも及ぶ地獄パート「Verso」の裏側です。

最初は再生時間の長さを見て「えっ長!」って思ったんですけど始まってみたらあっという間でした。

並みの人類なら数ヶ月は寝込むこと間違いない身体のひねり方といい、全てが完全にネクストレベルです。

他のプロスケーターからは「マジで勘弁して」とか思われてそうですね。

それと、Spotの編集長から言われて気づいたんですが、パート最後の数分間がミラー(鏡写し)になっているようです。

タイトルがVERSOだし、偶然そうなったラインを集めたんじゃなくて明らかに撮影段階で狙ってやってますね。

 

 

こんなクソえぐいパートを作ったスチュウ大先生、実は一時期スケートのモチベーションを失っていたそうです。

以下、その辺のところのスラッシャーのインタビューを簡単にご紹介します。

 

・二、三年スケートシーンから遠ざかっていたけど何をしていた?

大学に通っていた。当時ははもうスケートする気がなくなっていた。それでも身体はスケートしたがっていたのが嫌だったくらい。

 

・スケートが嫌になった理由は?

自分で主導権を持って計画的な人生を送りたかった。スケートが自分の人生で一番面白いことではないように思えた。自分の理想の人物像があって、スケートを通してそういう人物になろうと思っていた。スケートトリップで世界中を旅して、プロになって夢が現実に変わった時、そのまま続けても理想の自分にはなれないと気づき、別の道を探して大学に行くことにした。大学生活は刺激的でためになった。

スケート自体だけじゃなくキャリアとしても面白いことをやっているプロスケーターが少ないと思った。自分としてはもっと深くてやり甲斐のあることをやりたかった。当時は20歳(現在26歳)だったけどすでに人生でやりたいと思っていたことは全て実現させてしまっていて、それ以上のことが起きるとは思えなかった。他のスケーターを見ても同じことをずっと繰り返しているだけに見えた。

 

Thrashermagazine

 

・今はどう思っている?

今はこれまでとは別の領域に到達して、自分でもなれると思っていなかったスケーターになれたと思う。

本当は博士課程の願書を出そうと思っていたが、すでに申込日を過ぎてしまっていた。大学からも、何か見えない力にもスケートに戻れと言われたような気がした。それでスケートに戻ることにした。

大学を卒業してスケートに戻ったときに、自分のスケートの見方を考え直した。

「なぜ俺はスケートしてるんだろう」なんて考えすぎることをやめて、デニス・ブセニッツみたいに、考え込むよりもっとスケートすることにした。

自分の思う「完璧」とは、トリックもパートも完全に自分が思った通りにメイクして、同じようなパートは二度と作らないこと。

大学に行って、それまでの自分がどれだけ狭い考え方をしていたのかわかった。

今でも完璧主義者の部分は残っているし、それはこのビデオパートにも反映されているけど、スケートするときは考えすぎないようにしている。

今は退屈なものにしかならないと思っていたスケートキャリアとは別の道を見つけたと思う。

 

Thrashermagazine  Photo: Shafer

 

最近コンテストにも出るようになったけど、そこでレールをスケートしていると「レールスケーターじゃなかったよね?」とか言われるのがウケる。他人の自分に対するイメージを逆手に取るのは楽しい。

つい何ヶ月か前にマドリッドにあるプラザでゴツいオーリーをメイクしたけど、そこは今まで誰もメイクできてなかった。メイクしたあとナーリー(gnarly:段数の多いステアやレール、エグいドロップなど気合いが必要なトリック、およびそういうスケーターに対して「ヤバい」「すごい」を表現するときに使う言葉)だって褒められたし、まさか自分がやるとは思わなかったと言われた。

びっくりすることが好きだし楽しい。今回のパートでは自分の持ち技を全部入れたかったし、自分がやれるとは他人から思われてないやつも入れたかった。

 

と以上がマーク・スチュウのコメント。

いや~ほんと驚愕トリックの連発でしたわ。しかもそれが11分半続くとか、なんかもう、エロすぎ!

インタビューではその後、完璧主義者なのは家庭の影響なの?そういう部分もあるかもね、ってところから最初は親父にはなかなかスケートをキャリアとして認めてもらえなかったという話なんかが続き、最後はこのパートは自分のベストパートだと言われてもおかしくないくらい、いいパートになると思う、という大先生のお言葉でシメでした。

この後も年末にかけてSOTY狙いのパートが出てくるかもしれませんが、このパートを超えることは不可能でしょうな。

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