コラム ホモロー 第9回:GIRL×KYOTOの話

2019.06.21

鬱陶しい梅雨目前ですが皆様いかがお過ごしですか?

どうも容姿も性格も梅雨みたいにジトジトしてるボードウォークのホモローです。

つい先日、日本のスケートボード界を揺るがすビックニュースがパイ投げと共に駆け巡りましたね。

そう。最速で日本を代表するスケートボーダー様に成長なされた堀米様が、シェーンオニール様が立ち上げた新ブランド”April”から自身のプロモデルデッキを発表なされ、名実ともに本物のプロスケートボーダーに昇格なされました。

昨年の11月のコラム8回目の時点で僕もそうでしたが、Aprilってブランド名も堀米様がご加入なされるのもゴシップ的な噂でご存知な方も多かったかと思いますが、ブランド名が4月というだけに「絶対来年の4月に動くな……」て思ってたら見事に肩透かしを食らって5月に全貌が明かされ、更にどうやら4月って時期は関係なくってオニール様の娘様のお名前から由来してたぽいですね。

 

兎にも角にも他にも沢山おられますが、古くは豊田様や江川様に川村様、岡田様や米坂様そして戸枝様や北詰様へと、日本人のスケーター様方が築き上げて来られた階段に大きな一段が付け加えられたのは、本当に名誉なことで来るべき未来の日本のスケートボードシーンが明るい物に感じられる素晴らしいニュースでした。

 

そもそも、そこまでニュースになったこのスケートボードデッキ。

数枚の薄い木を接着剤で圧着して形成され、現在は熱転写で絵が印刷されたただけの物と言ってしまえばそれまで。

しかし、堀米様の快挙に皆様も歓喜なされたように、この絵が印刷された一枚の合板にはスケーター様の血の滲むような努力の結果や、デザイナー様のデザインに対する想いなど、本当に色々な心が込められた特別な合板と僕は勝手に思っています。

そんな想いに感化されて皆様はお小遣いを貯めて頑張ってお店でデッキを手に入れ、更にそんな大事な大事なデッキにスライド系トリックで、裏面の絵を残しつつ縦ではなく、いかに美しく横に傷を付けれるかで日々練習に明け暮れ……変な縦傷が付いた日にゃ~鬼バッド入ったり……。

はたまたお気に入りのステッカーをデッキにボムってあまりの仕上がりの良さに、部屋の角に置いてあるデッキに向かってウィンクしちゃったり……。

そして大人になってふと昔に乗り終えたデッキを見つけて、刻まれたスライド痕や貼ってるステッカーで、

「ああ……この板で、あの夏、あのBOXで、初めてB/Sスミス乗ったなぁ……」

と、思い出に浸りウィスキーグラスを傾けたり。

 

リソグラフにシルクスクリーンや熱転写と印刷方法は多少異なりますが、その昔芸人さんが「好っき!!」って叫んでらっしゃったラッ○ンやヒロ○マガタ、ウォー○ールみたいに街角でキレイなお姉さんに声かけられて、高額なローンを組まされて額装して似合いもせん部屋に飾るだけでなく、

デッキは陶芸家が駄作を何のためらいも無く、窯から出した瞬間作品を叩き割るが如く、自分の滑りの不甲斐なさに怒りが爆発して折ってしまうのも一興。

足で縁石にスライドという手法でデッキに加筆して仕上げるのも一興。

そうデッキという不思議な合板は印刷物としての見解から見ても、乗り手全てを芸術家にしてくれる素晴らしい物体だと僕は思います。

 

驚かんとて下さいね?実はココから本題。

今は売る方になってますが、僕も小さい時は昼飯代ケチって必死に貯金して、バイト出来る歳になったらコンビニ弁当工場でトンカツにまみれてバイトして、下腹部のモゾモゾが抑えきれない位高揚して、お店に行って必ず月一回デッキ買ってましたし、今までの文章も、ものの数分程で書いてしまうくらいデッキには熱い想いがあります。

ただ、このデッキさん。僕が小さい頃はその殆どが輸入品。

僕らは遠い国から一方的に届いたものの中から絵を選べるだけで、コッチから何か意見出来る事なんて皆無。

今はそうでもないでしょうけども、アメリカさんのアイテムに意見するなんか、僕らオッさん世代からしたら今日少年野球入った若手満開が大リーガーに、

「君、もうちょっと腰落としてバッターボックス入ってみ?」言うようなもん。

 

そんな主従関係が当たり前で育って来たオッさんに丁度昨年2018年の今頃。

代理店様から「GIRL ✕ KYOTOのデッキとか興味あります?」と一通のメール。

前述の様に主従関係が染み付いてる僕は勝手にアメリカさんが京都の絵のデッキ作って、ボードウォークさん?買って下さいね?的なヤンキーの先輩へのカンパみたいなもんだと勝手に思って「まぁそうッスねぇ~」程度で返したのですが……。

「じゃぁ、GIRLのあの柄分かりますよね? 93TILモデルベースで、早速イッセイ(森中一誠)にも連絡するんで希望のカラー聞き出して、アラカワ(ホモロー)さん

イラレ出来ますよね? 2人で色々考えてコッチに色指定貰えます?」 との返事。

繰り返しますが、アメリカから来る物の中から選んで仕入れるのが当たり前で、店の仕事もあるのでいまいち理解が及ばす……。

そうこうしている間に代理店様からイッセイには連絡がはいったのか、

「すもす(ハート)甘ぁ~い和菓子の色がシビレ系ふぃす。ほな撮影行くんで、のちチャッチャッ系でカラー決めましょ(ハート)」みたいな訳わからんLINEが来て……。

何か頭の中”?”のままこの企画がスタート。

 

金閣寺のGOLD感渋いっすねぇ~(by 森中 一誠)

今まで何度もイッセイとは共同で作品を作っているので毎度のことなんですが、お互い鬼の凝り性なんで毎回お決まりで、イッセイは狂ったように京都の和菓子を実食し、甘みリポートから始まり、何故か毎回狂ったように良いイメージが湧くまで祇園〜京都タワー間を、鬼の往復ビンタ級に永遠クルージング。

言うてる僕も彼と同類なんで、お坊さんの正装、袈裟(けさ)の色の意味を狂ったように調べまくったり、和食や精進料理の配膳配色に清水焼の配色、家の前に住んでる西陣織の職人のジィちゃん家に反物とかお話伺いに行って、結果毎回お茶もらいながら「町内のゴミ出し時間に伴うカラス対策」の話を永遠聞かされて。

二人して一体何処に向かってるのか分からないまま祇園祭のシーズンに。

 

クっソっ暑い中イラレに向かって何百枚もカラー案出して東京に居てるイッセイに

画像送って…「スイーツ感無いふぃす」

画像送って…「シビレ系電波来ないっす」

画像送って…「あ、今からハンマーの撮影なんでのちチャッチャッ系で(ハート)」

と、ひたすら意味あるのか分からない不毛なやり取りのまま秋の紅葉シーズンに。

 

「なぁ、イッセイ?こんなマニアックなことを色だけで誰が分かるねん?」に不時着。

まぁ、実は毎回なんですけど。

からの「一旦な、一旦原点帰ろ?お前外国人として初めて京都来たらどこ行く?」

 

金閣寺のGOLD感渋いっすねぇ~からの和菓子ふぃす。あ、ホモローさん

前言うてはった黒蜜わらび餅ってどこで売ってるんスか?」

 

お、おい、、、お前、今何て言うた?ソコやんかいさ。プリ○ティブにも後出しでコッチがルーツどすえ?言えるやんかいさ。何でそれ気付くのに何ヶ月にかかってるねん俺ら…」と、やっとこさ安全着陸。

 

そこから幾度と無くイッセイと話し合い

金閣寺のGOLD感をベースに鳥居や紅葉に舞妓さんのかんざし等の朱色。

単体としてもスイーツになりつつ全ての和菓子のパートナーにもなれる

マルチプレーヤー茶道界のエース抹茶の抹茶色。

この3色まで絞り込み、これまた何百枚も配色を二人で考えて代理店様を介してUS GIRL社に提出。

 

spotskateboarding

 

金閣寺感のビカビカゴールドは少しコストがかかるんので希望を聞き入れて頂けるのに結構な時間がかかりましたが、主従関係が染み付いた僕ら世代はコチラの希望をUS GIRL様全て受け入れてもらえるなど考えられないこと。

そんなこんなで、デッキ製造の許可を頂けるまでに辿り着けました。

ただ、イラレ上のイメージ図とRGBだのCMYKだのだけで、いつ出来上がるかも分からないし、サンプルも無いし、突っ走った割にそこまで実感のないまま数ヶ月が経過。

 

 

そんなとき、とある先輩スケーターからminiDVビデオカメラVX-1000(数多くのスケートビデオで使用された名機)をゲットしてしまったイッセイ。

彼のバリスケスイッチが音を立てて“ON”になってしまい、コッチがカラーで悩んでる作業と平行して、夜な夜な家に来ては「(トリック)ゲットふぃす」言うて懐かしい小さいサイズのビデオカセットをひたすら持ってき続けて。

最終的に公開場所も不明瞭なまま30本以上も溜まってしまう結果に。

既にボタンも効かない捨てる様な中古の安定しないカメラでは、せっかく撮った映像が不安なので何かに使えるかな?で僕も止めときゃいいのに、一応データはハードディスクに入れとこかぁ~なんて思ってしまい、この悪魔の囁きが原因でカメラがバグってどないしょうも無くなってヤフオクで中古ビデオカメラ買って3台潰すハメに。

結果、業務用DVプレーヤーまで買ってしまったのですが、何処でどう使うか全然分からないまま僕のハードディスクにはVX1000で撮影された動画データも満腹パンパンのテラ状態で大型連休に突入。

連休中その後も目が回る位お店が忙しいし、世の中何か浮かれてる時期も昼間ずっと仕事してたんで何か悔しいし、夜の部は毎晩毎晩、節度ある?お酒を嗜んで翌日はスズメの鳴き声でもこめかみに響くド二日酔いの日々の中でGIRLKYOTOのことなんかスッカラカンに忘れてた5月も後半?もう6月なってかな? 二日酔いで覚えてないけど代理店様から

 

「突然ですが例のデッキ(米国から日本へ)出たみたいです。折角なんで発売日は6月後半で何か面白い事しません?」との連絡を受けた僕。

 

二日酔い、いや、まだ全然酔ってる居酒屋のテンションのまま、止めときゃいいのに、あ、VXのデータあるやん~イッセイも”京都”をイメージして

撮影しました言うてたや~んなってしまい、止めときゃ良いのに「パートいっときますぅ~?」と返答してしまい……。

 

ここから超タイトな締切に追われた僕の地獄の編集の話なんて誰も読みたくないでしょうし割愛しますが、VX-1000のガサついた味のある画質が京都のトラッドなイメージにハマってくれて皆様に楽しんで頂ける(かな?) GIRLKYOTOをイメージした映像作品もマジで半泣き滑り込みでしたが何とかデッキの発売に合わせて米国から公開して頂ける話がまとまりました。

 

文頭に書かせて頂いた様にスケートボードデッキなんかただの印刷の乗った合板と言ってしまえばそれまでなのですが、その合板全てには誰もココまで読んで無いかも?ですがスケーターの血の滲むような努力、それに伴うヴィジュアルイメージや色などが込めれています。

今回はGIRLKYOTOを軸にコラムを執筆させて頂きましたが、皆様もお店に並んでるデッキをお選びなる時そうした想いを鑑みてデッキを選んでみるのも楽しいかも?ですね。

今回のGIRLKYOTOデッキは2019年6月21日(金)発売地域は京都限定。

生産枚数も限定で京都市内のムラサキスポーツヨドバシカメラ店様ムラサキスポーツ久御山店様、

そして僕のお店ボードウォーク京都店の3店舗で発売致します。

発売記念動画は米国GIRL/CHOCOLATE/Royal/LAKAIをまとめているクレイルタップ様

(http://crailtap.com/) のオフィシャルページから発売日に合わせて公開される予定です。たぶん。

当日は動画を視聴して頂きテンション上げてから各店舗様にプッシュでGOして

本心はお買い求めて頂けるのが嬉しいですが見て頂けるだけでも結構です。

是非この機会に”想い”のこもったデッキをお手にお取り頂けましたら幸いです。

たった5文字ですけどKYOTOって文字はデッキに入れて頂けました。

 

spotskateboarding

 

次の壮大かつ無謀な野望は……。

おっと。職業柄エゲつないお喋りさんですけど、無言実行派なんでココらで。

ほな お~きに!!

 

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