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コラム 本間章郎 第2回:パークを作るってカッケーす
漆(うるし)×スケートボード

コラム 本間章郎 第2回:パークを作るってカッケーす

2018.06.08

こんにちは、本間です。あなたのローカル(地元)では、 誰にも文句を言われず、自由に楽しくスケートボードができる場所はありますか?

 

ネットやビデオを通じて、海外のスケートボードパークに憧れたことのある人は多いと思います。「なぜ、日本にはこういう環境がないのかな」と、思ったことがある方も少なくないでしょう。今回は、そんな日本のスケートボードパーク事情ついて。

 

©長永スポーツ工業株式会社

 

オリンピックが開催できるようなパークは、日本に存在しない

スケートボードが自由に練習できるところをスケートボードパークといいます。現在、日本には約400のスケートボードパークがあるといわれていますが、その内のいくつかのパークはすでに朽ち果てているか、楽しく自由には滑れないパーク。また、いくつかはリング状のローラースケートパークやただ柵に囲まれたフラットエリアをスケートボードパークもしくはローラーパークと呼んでいるもので、いわゆる普通のスケートボードパークと呼べる場所は、全体の約半数の200箇所以下でしょう。さらに、そのなかでも愛好者やローカルショップなどがイベントやコンテストを開催できるような規模のパークはその半数以下。さらに、AJSAなどスケートボードの協会が主催するような規模のコンテストが開催できるような規模やセクション構成がそろうパークは20箇所程度。さらに、世界大会と呼べそうなコンテストを開催できそうなパークは数箇所。さらに、2020東京オリンピックで開催される「パークスタイル」と呼ばれる競技の練習ができそうなパークはゼロ。というのが、現在の日本の状況なのかと思います。

 

僕は社会学者や統計学者ではなく、ただのスケートボード好きなので、他のスポーツと比べたり、全国のスポーツ施設とのシェア比率を出したりはできません。しかし、スケートボードがオリンピック競技に選ばれ、その動向に注目が集まっているわりには、“まとも”なスケートボードパークがほとんどないという事実を知っている人は、ほとんどいないでしょう。スポーツ庁やJOC(日本オリンピック委員会)はもちろん、都道府県庁や市町村や区役所も、この事実を知っていないことは想像に難くないでしょう。

 

さて、冒頭の質問に戻ります。あなたのローカル(地元)ではどうでしょうか? 誰にも文句を言われず、自由に楽しくスケートボードができる場所はありますか? パークじゃなくても「スケートスポット」と呼ばれるスケートボードができる場所はいくつかあるかもしれません。立体交差の下の空き地や道路予定地のガードレールに囲われて自動車が入ってこない道路とか、深夜の公園の駐車場とか、平日は子どもが少ない滑り台のようなオブジェとか、終電が終わった後の駅周辺とか、休日だけ無人になるビルの入口とか。みなさんがとても大事にしているスケートスポットは街中に無限に存在するし、すぐに無くなってしまうし、また新しい場所に出会うかもしれません。

 

うるさいと通報されて警官に怒られたり、マンションの上階から生卵が降ってきたり、酔っ払いのサラリーマンに絡まれたり、暗くて見えなかった穴にはまって怪我したり、改造バイクのお兄さんともめたり……。まあ、スケートボードを続けているといろいろなことが起こります。もちろん、街のカルチャーの一部であるスケートボードは街でするのが一番ですが、大人になって警官に怒られたり、自分の同じ年くらいの親御さんの子育てを騒音で邪魔したり、いらぬ揉めごとでケンカになったり、そういうことは誰も自分から求めているわけではありません。いろいろ調べて何度も確認し、「よし滑れそうだ」と思ったスポットを瞬殺でキックアウト(「ここで滑るな」の意味)されたりするのは、スケートボードをする側のモチベーションをグッと下げてしまうのも事実ですよね。

 

スケートパーク建設の様子 ©長永スポーツ工業株式会社

 

今がスケートボードパークを増やすことができるチャンスかも

「仲間と思い切り滑りたい」「好きなタイミングで自由に滑りたい」「ハマっているトリックをとことん練習したい」っていう気持ちは、どうやれば叶うのでしょうか? そう、地元にスケートボードパークを作ってもらうのが一番です。昔と今では状況がまったく違います。今は2020東京オリンピックの開催国競技のひとつとして正式に採用され、「スケートボード」といえば大体の国民がスケートボードとはどういうもので、どういうふうに乗るのかをわかっています。そして、自宅の前で滑られると騒音が気になったり、仕事をしている人たちは夜しか練習できなかったりする状況もわかってくれるかもしれません。僕の個人的な感覚では、今が一番スケートボードパークを増やすことができるチャンスなのだと思っています。

 

さて、ではどうやってスケートボードパークを作ってもらうのがいいのでしょうか? 自分で作るにはドセレブでもない限り、貯金がいくらあっても足りません。また、予算があれば良いパークができるとも限りません。すでにあるスケートボードパークにしても、実際に行ってみると、デザインや配置が無茶苦茶だったり、施工の失敗で危険な箇所があったり、無駄なスペースがあったり、設計者や施工業者の技術力の違いで楽しみ方に差が出てしまうパークなども多いのです。

 

スケートボードパーク建設で多いパターンは、

 

●地元にスケートボードをする若者が増える

●滑る場所が無くてしょうがなく公園の駐車場などで練習をする

●愛好者グループが増え、場所がないからしょうがなく隠れていろいろな場所で練習する

●危険なこと、悪いことをやっているように見られてしまう

●さらに滑る場所が減って、やめる人はやめちゃうし、残った人はよりハードコア化する

●噂が警察や役所にも入り「滑る場所を作ってあげるのはどうか」と考える人が出てくる

●いいイメージが無い若者にアドバイスを求めることも無く、勝手に他のパークを真似る

●もしくは一部の地元愛好者の意見だけを聞いてデザインしてしまう

●しかも悪さしないように規則でがんじがらめにしてオープンする

●「こんなパークいらねえ」って本物のスケーターはパークに行かない

●せっかく税金を投入したにも関わらず、費用対効果が著しく悪い施設になる

 

と、進んでいくケースが多いのですが、この辺から大きくふたつに分かれていくのです。ひとつは完全にスケートボードを敵視し、禁止し、取り締まり、追い出す、って流れ。でもね、「SKATEBOARDERS NEVER DIE」なんで、絶対に街からスケートボーダーが居なくなることはない。ここは強く言っておきますが、スケートボードは街とセットなので何をしても絶対にいなくなりません。そしてもうひとつの道としては、「もっと利用してくれる良いパークを作らなきゃいけないんじゃないか」って役所や議員や先生や地元の有力者が気付く、って道。

 

スケートボードパークの作り方、教えます

僕は「instant(インスタント)」っていうスケートボードショップを経営していますが、もう一方でスケートボードのコンテストのアナウンサーやMCをしております。またそれとは別に、スケートボードパークの建設コーディネーターって仕事もしています。スケートショップの広告やWebサイトは、結構本気で作っていますが、MCやパーク建設コーディネーターに関しては、ご要望があるところから声をかけてもらった時だけ対応するようにしてます。私営公営に関わらず、すでにいくつものスケートボードパーク建設に携わった経験から、スケートボードパークが完成するまでのステップや、無数にある落とし穴、また効率的なステップや最新の情報をもっています。

 

そこでこのコラムの次号から何回かに分けて、全国のパークを望む人たちに向け、「スケートパークの作り方」というテーマで原稿を書こうと思っています。今まで雑誌のコラムやWebコラムで、何度かパーク建設に関して書いたことはありますが、個々のテーマが断片的で最初から最後まで書くのは文字数の制限などもあって難しかったのです。しかし、それでも僕の書いた内容を実践されたりしてパーク建設のスタートを切った方もいらっしゃいますし、ステップがわかれば動きはじめられる方も増えるでしょう。次回のテーマは、「最初の一歩をどう踏み出すか」って内容で書いていきます。たぶん(笑)。

 

【プロフィール】

本間章郎 Akio Honma

東京都世田谷区出身。1980年代の第二次スケートボードブーム時からスケートボードに乗りはじめる。1995年、千葉県浦安市にスケートショップ「instant」を設立し、現在は吉祥寺店、千葉店、お台場店の4店を構える。日本スケートボード協会の競技委員としてコンテストのメインMCや審査員を担当。独自の視点でスケートボードの魅力を伝え続け、スケートボード愛好者の増加に努めている。

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本間 章郎

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