「スケートと家族はセット」スケートボーダー大島勝利〜47歳の挑戦〜

2019.06.27

 

梅雨入り宣言がされ、雲が低く垂れ込んだ6月9日。

世界ではストリートリーグで日本人が活躍し、デューツアーでは誰がファイナルに進出するのかとスケート界が騒ぐ中、ある一人のスケートボーダーの挑戦が所沢市にあるSKIP FACTORYにて行われようとしていた。

名前は大島勝利47歳。通称ハチ。

職業、精肉販売。

妻帯者であり、0才児と5才児の子を持つ父親。

そしてスケーター。

そんな大島勝利の挑戦とは、AJSAアマチュアサーキット参戦である。

 

 

主に10代前半のスケーターが参戦し、プロスケーターへの登竜門となっているこのコンテスト(AJSA関東アマチュアサーキット)に47歳で再び挑戦するという。

これが彼にとって、どういう意味を持つのか。

どんな想いでコンテストに参戦したのか。

大島勝利さんにコンテスト前とコンテスト後に話を聞いてみた。

“やっぱりドキドキしたい”

【コンテスト直前インタビュー】

——今の心境は?

 

とにかく周りを意識せずに自分の出来る事と、自分の武器を最大限に活かしてパフォーマンス出来たら!という感じです。

 

 

——47歳の今、何故AJSAのアマ戦に挑戦しようと思ったんですか?

 

年齢を重ねていくと大人はコンテストに参加する事自体が無くなってくるじゃないですか。

若い時はコンテストに出る時の独特の緊張感やドキドキ、当日まで練習を積んで大会に合せて努力をする過程が楽しかったんだけど、なんか“大人は大会に出ないみたいな風潮”があって、自分もコンテストとは疎遠になっていったんだけど、やっぱりこの年齢でもまだドキドキしたいなっていうのと、大会に向けてスケートに取り組む楽しさをもう一度味わいたくて今回の挑戦を決断しました。

“ただ楽しければいい”というスケートもいいけど、“やっぱりドキドキしたい”。

 

——ハチさんにとって今回の挑戦にはどんな意味がありますか?

 

何歳になっても挑戦する事の大切さを再確認したかったのと、同世代へも“楽しく挑戦しようよ”っていう投げかけですね。

やっぱり同世代で、今までやってきた仲間達みんなでコンテストに出たいしやりたいなって。

そもそも大人向けのコンテストって無いからね。

大人向けのコンテストって銘打ってもぜんぜん人が集まらないんですよ。

そういう意味でも大人も子供に遠慮しないでガンガンやってこうぜって。

 

——この挑戦を通して家族に伝えたい事はありますか?

 

今回の挑戦を一番初めに伝えたのは妻なんですが、仕事や子育てがある中で、一番迷惑をかけてしまうのは妻なんですよ。

実は昨日「正直きつかった」と言われたので、やっぱり家族がいると厳しいんだなっていうのを再確認しました。

なのでここまで応援してくれて、考えを理解してくれた妻に一番感謝したい。

本当は子供も連れてきたかったんだけど、まだ0才と5才なので面倒を見る余裕が無かったんですが、本来は背中を見せたりとか、スケートボードって本当は楽しいんだよっていうのをわかってもらいたい。

お父さんは“楽しんでがんばったよ”っていうのを伝えられたら本望です。

 

——コンテストの練習で1ヶ月半SKIP FACTORYに通って感じたことは?

 

改めて若い子とは体力が全然違うなと(笑)

3時間滑ったら次の日ホント滑れないんですよ。集中力や筋力とかも全然回復しなくて。ある日、一人のキッズがものすごい捻挫したんだけど2週間くらいで戻ってきて、そんなの俺がやっちゃったら終りじゃないですか(笑)

下手したら半年とか滑れなくなっちゃうし、そういった意味での体力の低下や怪我が治らないというのは今回痛感しましたね。

反射神経も含めてすべてが衰えている中で、今回のルーティンを考えてきました。

 

 

予選は1分間のランを1本だけしか滑れないから、やっぱり練りに練ってじゃないと本当に厳しい。

正直ぶっつけ本番の挑戦になると思う。

 

“こんな感情大人になってからはなかった”

【コンテスト終了後インタビュー】

※残念ながら1分間のルーティーン内で2トリックしかメイクならず。

 

——今日の出来は何点ですか?

 

100点満点中10点だね。

10点というのは当日まで大けがする事なくたどり着けた部分だけ。

それくらいしんどい挑戦だったね。

あとは全然ダメ。

緊張で足がガクガク震えちゃったし(笑)

若い時にスケートボードでプロになって、有名になりたかったけどなれなかったのが、逆に今回の挑戦に繋がったのかもしれない。

あいつ下手なのにって影でごちゃごちゃ言う人はいると思うけど、全然関係ない。あと、47歳ってMCに紹介して貰った時にオーディエンスがワーってなってくれたのが本当に嬉しかった!!

みんなありがとう!

 

 

——終わってみてどうでしたか?

 

1ヵ月半、練習を積み重ねたはずのルーティンが全くできなかった悔しさが一番。これがコンテストだなと、痛感したね。

オヤジには1ヶ月半という準備期間は短かったし、練習不足だった。

でもここで引き下がるわけにはいかないね(笑)

仕事の事や家庭の事、全ての条件でOKが出ればもう一発挑戦したい。上手くいってたらこれで終わりにしてたかもしれないし、今回まったく上手くいかなかったからこそ芽生えた感情だね。

全く満足出来ていないし、悔しくて落ち込んだからね。

こんな感情大人になってからはなかったね。

 

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