堀米雄斗と西村碧莉が世界王者に!スケートボード・ストリート世界選手権
2021.06.07
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6月6日にイタリア・ローマで行われたストリート世界選手権で、男子は堀米雄斗が優勝、白井空良が3位の快挙。女子は西村碧莉が優勝、西矢椛が2位と最高の結果を残した。
ストリート世界選手権は東、45秒間自由にコース内を滑走する“ラン”を2本と、一発技で得点を競うベストトリックを5本行い、そのうち上位4本の合計得点で争われる。今大会は、東京五輪予選大会の最終戦となり上位3人の選手には、自動的に東京五輪への出場権が与えられる。
今大会の結果で女子ストリートは19歳の西村碧莉、15歳の中山楓奈、13歳の西矢椛が五輪出場確定。男子ストリートは22歳の堀米雄斗、19歳の白井空良、17歳の青木勇貴斗の3人が五輪出場を確定させた。
【新世代の攻防!女子決勝】
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新世代のスケーター代表とも言える、13歳のライッサ・レアウはベストトリック3本目でミスをし、膝を地面に強打。痛さなのか悔しさからなのか、泣いてしまう場面もあったが、最後にはフロントサイドフィーブルグラインドを決め3位に。
3位の西矢椛は、どんなに難しいトリックも力の抜けたスタイルで簡単そうに決め、解説者も「ビューティフルスケートボーディング」の一言。まだ13歳ながら、完成されつつある圧巻のスタイルに驚きを隠せないでいた。
19歳の西村碧莉は、準決勝でも高得点をマークした、ハーフキャブノーズスライドを決勝の大一番でも決め、4.30点を獲得。ベストトリック4本目には、バンクからギャップ越えのフロントサイドオーバーK(クルックド)グラインドを決めて4.04点を獲得。この時点で4位につけ、ラストトリックで全てが決まるという展開に。最後のトリックは、バンクからのフロントサイドリップスライドをチョイスし、これを見事に決めて逆転1位に。
彼女のすごい所は、技術の高さはさることながら、精神面での強さがずば抜けていて、どんな状況でも“ここで決めれば勝てる”という場面では、必ず決めてくれる勝負強さがある。今大会でも、その勝負強さをいかんなく発揮し、見事世界女王の座に輝いた。
【いつだってドラマチックな2人!男子決勝】
2020年1月キメラAサイドでの写真 Photo by Katsumi Kojima
ラン2本を終えて、ライバルのナイジャ・ヒューストンがトップで折り返す中、堀米はランでミスが続き、8位の最下位という厳しい展開で、ベストトリックに進む。
しかし、ベストトリックでは堀米の真骨頂とも言えるノーリートリックで会場を魅了する。
1本目にノーリーバックサイド270ボードスライドを決め、8.98点。
2本目に、ノーリー270スイッチバックサイドテールスライドを決め、9.20点。
3本目に、ノーリーバックサイド180ノーズグラインドリバートを決め、9.10点
4本目に、ノーリーバックサイド270ノーズスライドを決め、この日最高得点となる9.47点を獲得。
神がかった集中力とメイク率で、4本連続で高得点を出し、一気にトップに躍り出る。
一方のナイジャは、珍しくベストトリックを3本ミスしてしまったが、それでも2位に輝くという、強さを見せた。
3位の白井は、これまでの五輪予選大会では誰もやっていない技、バックサイド180フェイキーフロントサイド5-0グラインド(スイッチフロントサイドノーズグラインド)を決めて9.39点を獲得し、見るものの度肝を抜いた。
この技は、一昨年に世界を驚かせ、通称ソラグラインドとも呼ばれた、フロントサイド180フェイキーバックサイド5-0グラインド(スイッチバックサイドノーズグラインド)のバックサイドバージョン。
五輪予選大会の最終戦で、さらなる進化を見せた。
【スポーツ競技としてのスケートボード】
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ジェイク・イラーディが最後のベストトリックで、バンクからギャップ越えのキックフリップ フロントサイドブラントスライドにトライし、ミスしたのだが、諦めきれずに再度挑戦し(もちろん採点には関係ない)失敗。さらに、再度トライする姿勢を見せた時に、MCが観客を煽り、観客もそれに応えて大盛り上がりを見せた。
これは、世界選手権という競技としての舞台でも、こういったスケートボードコンテスト本来の“楽しむ”部分が残っていることを再確認できて、嬉しく思える場面でもあった。
その反面、採点方法など難しい問題もある。
セミファイナルで堀米が最後に見せたノーリーヒールフリップバックサイドノーズスライド ビッグスピンアウトの得点が低い事に対する観客からのブーイング(ナイジャも一緒にブーイング)。
ファイナルでは、白井のラン1本目において、ラストトリックであるバックサイドシュガーケーングラインドでトラック(軸の部分)がレールから外れ、完璧なメイクとは言えず、8.03点だったが、2本目では1本目と全く同じルーティンで、最後のシュガーケーンを完璧に決めたにも関わらず8.0点という採点に、これまた観客からはブーイングが(1本目はフルメイクとみなされていて、2本目は全く同じ構成という事で、減点されたのか?)。
他にもいろいろ「ん?」と思う場面もあったが、50年以上前にカルチャーとして生まれ、発展してきた歴史を持つスケートボードが、突然“スポーツ競技”となった事により、その採点方法にも戸惑いが生まれるのは、ある種の必然なのかもしれない。
しかし、競技としてのスケートボードが発展することによって間口が広がり、日本人スケーターが海外でも注目を集め、活躍できる舞台が増えたのは確かだ。
堀米雄斗、白井空良を始め、五輪に出場する日本人選手は、オリジナリティ溢れるトリックに加え、大きなセクションにも適応性を持つ、高いスキルを持っている。
彼らの独創的で、完成度の高い技の一つ一つに注目し、東京五輪では多くのメダルに期待したい。
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