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オリンピックでつながる、韓国と寒河江の知られざる関係(前篇)
2018.08.08
開催まで2年を切り、徐々に準備が進んでいる2020年の東京オリンピック。スケートボードに関しても追加種目決定からおよそ2年が経ったが、地方行政においてホストタウン盟約を結んでいる都市があるのはご存知だろうか。それが韓国と山形県寒河江市。前編となる今回は、スケートボードを通じた双方の友好にフォーカスを当てた。
![スポットスケートボーディング](https://spotskateboarding.jp/wp-content/uploads/2018/08/2-700x467.jpg)
昨年6月の視察時。熱烈な歓迎を受ける韓国ライダーとローラースポーツ連盟スタッフ。
全国的に活発なホストタウンの動き
現在、2020年の東京オリンピックに出場する選手たちを受け入れ、交流する「ホストタウン」の動きが全国各地で活発となっている。スポーツ立国、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等に資するとして、国としてもこの活動を推奨しており、2018年6月28日現在の登録件数は、なんと234件にものぼる。
内閣府が自治体の計画や交流の実績を審査する仕組みにはなっているが、登録された自治体には交流の経費などで国の財政支援があるため、各都市が縁のある国や地域と積極的に交流を図っているというわけだ。
もちろんこの動きはスケートボードにも波及しており、2017年の10月30日に山形県の寒河江市と韓国ローラースポーツ連盟の間でホストタウンの盟約が結ばれている。しかし、東京オリンピックで初めて追加された種目のスケートボードで、どうしてこのような盟約が結ぶことができたのだろうか?
ここではその経緯と韓国側の活動を紹介していこう。
![スポットスケートボーディング](https://spotskateboarding.jp/wp-content/uploads/2018/08/3-700x479.jpg)
東北最大の寒河江スケートパークを有している寒河江市。
国内最大規模のスケートパークがある強み
まず、寒河江市と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、東北最大の寒河江スケートパークを有していることだろう。スケートボーダーならば、一度は写真や映像で見たことがあるであろう全国でも屈指のパークのひとつだ。寒河江市側もそれを強みとして認識しており、この施設をいかに有効活用していくのかという活動を進めていたタイミングで、ちょうどスケートボードが東京オリンピックの追加種目に決まったとのこと。
それならば行政側もスケートボードを使ったホストタウン盟約を結ぶことに異論はなくなる。今までも「PARTY 2 PARTY」など、寒河江スケートパークでのスケートボーダーのためのイベントにも積極的に協力してくれた寒河江市の柔軟な姿勢が垣間見える。
![スポットスケートボーディング](https://spotskateboarding.jp/wp-content/uploads/2018/08/4-700x467.jpg)
ホストタウン盟約を結ぶ前には寒河江スケートパークも視察。
![スポットスケートボーディング](https://spotskateboarding.jp/wp-content/uploads/2018/08/5-700x470.jpg)
寒河江市と安東市が姉妹都市盟約を結ぶきっかけになったさくらんぼ狩りを楽しむ韓国ライダー陣。
1974年から続く姉妹都市盟約
では、スケートボードを通じてホストタウン盟約を結ぶうえで、なぜ韓国になったのだろうか!? それは寒河江市が1974年から韓国中部にある安東市と姉妹都市の盟約を結び、現在も交流を続けていることが挙げられる。これは韓国領事から、寒河江市と気候がよく似ている安東市で、さくらんぼが栽培できないかという要望があったことからスタートした。ホストタウン対象国を選ぶにあたっても、まずは姉妹都市から、なおかつ日本にとって最も身近な韓国からあたってみてはどうだろうとの想いから、KRSF(韓国ローラースポーツ連盟 ※1)にコンタクトをとろうと直接的な繋がりはないながらもJRSF(日本ローラースポーツ連盟)に掛け合い、ホストタウン締結の動きが始まった。
※1 韓国におけるローラースケート、インラインホッケーなどのローラースポーツの競技団体。国際オリンピック委員会(IOC)の承認国際競技団体連合である国際ローラースポーツ連盟(FIRS)の傘下にあり、スケートボードもこの団体に属している。
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KRSF金会長、佐藤寒河江市長、大澤山形県観光文化スポーツ部長出席のもと、ホストタウン基本合意書を締結。
情報交換・視察の後 締結へ
そしてホストタウン締結に向けてJRSFにコンタクトをとったところ、JRSFの活動をサポートしており、なおかつ韓国でASIAN OPEN(その時の記事はコチラ)開催の実績があるAJSA(http://www.ajsa.jp)の紹介を受けたことで、締結への動きが急速に進んでいくこととなった。 そこからASIAN OPENの仕掛け人である圓太輔とシン・ジョンヒョクへと繋がったのは自然な流れといえるだろう。圓太輔が日本と韓国のスケートボードシーンのパイプ役として活動していたこと、さらにシン・ジョンヒョクがKRSFのスケートボード委員会の副委員長を務めていたことに加え、定期的に韓国の若手ライダーを連れて来日していたことが、2017年6月のKRSFスタッフによる視察、そして10月のホストタウン盟約の締結に繋がっていったというわけだ。
こうして東京オリンピック以後まで続く、選手の受け入れや文化交流事業推進の土台ができあがっていった。
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ホストタウン基本合意書締結後の記念撮影。
韓国ライダー陣と寒河江市の交流
ホストタウンの盟約が結ばれてからは、韓国のライダー陣と寒河江市は活発に交流を行っている。KRSFとしては強化指定選手であるライダー陣のスキルアップが前提にあるため、首都圏へ足を運んで国内のトップライダーと交流したり、全国規模のコンテストに出場させて経験値を積ませているのだが、その際に必ず寒河江市を訪れているのだ。
昨年の10月にはAJSAの全日本アマチュア選手権に出場した後に足を運び、市長との懇談会や寒河江スケートパークでのライディング以外にも、市内の小学校でデモとスクールを通して現地の小学生と交流を深めている。
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寒河江市内の小学校でデモとスクールを行う韓国ライダーたち。
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国内最高峰の寒河江パークは韓国ライダー陣の練習にも最適。
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寒河江スケートボードフェスティバルで両国の国旗を持ちながらの集合写真。
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市長との懇談会の様子。これからも彼らはスケートボードシーンを超えて日本と韓国の友好の架け橋となってくれることだろう。
直近では今年の6月末から7月初旬に来日し、AJSAの地区サーキットのなかで最もレベルの高い関東アマに参戦した後に訪れ、現地のイベント、寒河江スケートボードフェスティバルにも特別ゲストで参加している。今後も定期的に交流を続け、交流を深めていってくれることだろう。スケートボードがオリンピックの追加種目に決まった裏側では、このように実にさまざまな事柄が進んでいる。
後編となる次回では、韓国ナショナルチームの現状と魅力に迫っていきたい。
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