【JAPAN STREET LEAGUE 2024-BIG YEAR GIG-】シーズン最終戦を制したのはトリックレパートリーの多さを見せつけた池慧野巨
2024.09.30
8月に激闘のパリオリンピックが終わり、9月に入ってから約1カ月にわたって開催された、ワールドスケートゲームズ2024イタリア大会(世界選手権)も終わり、期間被りのX Games Chiba2024大会が終わった翌週となる9月29日。
JAPAN STREET LEAGUE(ジャパンストリートリーグ、以下JSL)の今年最終戦となる、BIG YEAR GIG大会が埼玉県にあるSKIP FACTORYで開催され、X Gamesストリート・ベストトリックで優勝し、NIKE SB Japanから“GACHI”ヤバいパートをリリースしたばかりの池慧野巨が見事優勝!
マルハン東日本より賞金50万円、ステンレスアート共栄より優勝の盾、セイコー5スポーツから時計が贈られた。
ランで高いスキルとメイク率を見せた、田渕利來が2位で表彰台入りし、賞金30万円を獲得。
3位はリニューアルされたSKIP FACTORYのセクションで、唯一無二のトランジションスキルを見せつけた、村上涼夏が賞金10万円を獲得。
女子スケーターに送られる特別賞、ベストスタイリッシュ賞には、前日のAJSA女子の部でも優勝した原田結衣が選ばれ、賞金5万円を獲得。
受賞した選手にはそれぞれ盾と時計が贈られた。
JSL決勝の模様はこちらのFODからしばらくの間は無料で見ることが出来ます
https://fod.fujitv.co.jp/title/70ql/70ql110002/
ちなみにこの翌週には大阪にあるムラサキパーク ららぽーとEXPOCITYで第7回日本選手権ストリートが開催される。
こちらにも出場する選手にとっては、かなりのハードスケジュールとなる今大会だったが、各選手みごとなパフォーマンスで大会を盛り上げてくれたことに、大きな感謝とリスペクトを送りたい。
【ざっくりとJSLとは】
スケートボード界の最高峰コンテストStreet League Skateboarding(ストリートリーグ以下SLS)の世界観を日本でも!
そんなコンセプトと、これからSLSを目指すスケーターたちの架け橋となるべく発足したのが、JAPAN STREET LEAGUE(ジャパンストリートリーグ、以下JSL)。
今年で3年目となり、昨年は根附海龍がJSLからSLSシドニー大会セレクトシリーズ(2023年10月)出場の切符を手にし、見事決勝まで駒を進める快進撃を見せ、その後もブラジルで開催されたスーパークラウンにも出場(2023年12月)。
現在はSLSレギュラーメンバーとして招待をされている。
JSLシーズン3の新たな挑戦となったのが“BORDERLESS”
今年4月に開催されたBORDERLESS Sessionでは、ガールズスケーターも男子に交じってセッションするという形式で開催され、今大会も女子スケーターが交じっての開催となった。
今大会は翌週の日本選手権もある関係で、女子は北野朝戸、原田結衣の2人だけの参戦となったが、男子に負けない気迫のスケートを見せて大会を盛り上げてくれた。
今大会のサブタイトルはBIG YEAR GIG。
冒頭にも述べているが、今年はパリオリンピックなどなど、スケート界にとってのビッグイヤー。
そこでJSLも負けじとギグっちゃいましょう!ということでこのタイトルに。
[Japan Street Leagueホームページより]
【-BIG YEAR GIG-出場選手とルール】
招待選手
予選ヒート1
田渕利來(15)三星怜生(16)石井太陽(19)齋藤吟平(15)浦野晴(19)瀧永遥句(15)
予選ヒート2
澤田莉旺(19)八島璃央(15)原田結衣(15)安部来夢(17)村上涼夏(19)
予選ヒート3
高橋陽太(18)浦野建隼(21)北野朝戸(17)根間瀬斗(17)甲斐穂澄(17)
予選ヒート4
葛西民央(17)山附明夢(19)柿谷斗輝(22)酒井琥珀(18)松本浬璃(17)
予選ヒート5
齋藤丈太郎(18)大場蓮(21)池慧野巨(23)和田陽翔(17)渡邊星那(18)
JSL2024のルール。
予選は45秒間自由にコース内を滑走するランを2本行い、そのうちのベストスコアで決勝進出を競う。
全ヒートの中から上位8名が決勝へ進出。
決勝のルールはSLSと同じルールで、基本的には以下のとおり。
ラン2本と、コース内の自由なセクションで1発技を行うベストトリックを5本行い、最終的にランとベストトリック上位4本の合計得点で順位が争われる(1トライにつき100点満点で採点)。
※ランのスコアは最大でも1つのみのカウント&必ず採用されるわけではないので、ランを2本ともミスしたとしても、ベストトリックで高得点を4本取れば逆転が可能。
※ちなみにストリートリーグではランで行ったトリックを同一の場所で行ってはならないが、パリオリンピックでのストリート種目ではOKとなっている。
【決勝進出者】
決勝に進んだ選手は以下の通り。
・15歳ながら、長い手足から繰り出すスタイリッシュなトリックで予選トップ通過となった田渕利來。
・クウォーターパイプを中心に、トランジションを攻めまくった村上涼夏が予選2位。
・ジャンプボックスでのハードフリップから、ラストまでフルメイクの滑りを見せた、松本浬璃が予選3位。
・ヒールフリップからの複合トリックを中心に、高いスキルで攻めた渡邊星那が予選4位。
・レッジでキャバレリアルバックテールからマニュアル台、ハンドレールでのスイッチトリックなど、引き出しの多さを見せた池慧野巨が予選5位。
・レッジでの全流しバックサイドテールスライドで、圧倒的印象を残した山附明夢が予選6位。
・ジャンプボックス越えのトレフリップ、ステアでのハードフリップを見せた齋藤吟平が予選7位。
・ジャンプボックスでは誰よりも高さのあるトレフリップを決め、ハンドレールではフリップフロントサイドリップスライドなどを決めた、八島璃央が8位で予選通過となった。
【X Gamesでの勢いそのままに!池慧野巨】
池慧野巨/キャバレリアルバックテール
池慧野巨の決勝のラン1本目。
レッジでキャバレリアルバックサイドテールスライド、マニュアル台でのスイッチノーズマニュアルからフェイキーキックフリップアウト、さらにフロントサイド180フェイキーマニュアル。
ジャンプボックスではワンフットオーリー、ハンドレールでのスイッチフロントサイドフィーブルグラインドはリアトラックが外れてしまうもしっかり乗りきり70点を獲得。
ラン2本を終えた時点、6位でベストトリックに臨む。
ベストトリック1本目、ハンドレールでスイッチヒールフリップフロントサイドボードスライドを決め、85.00点を獲得。
2本目、ハンドレールでノーリービッグスピンバックサイドテールスライドを狙うもミス。
3本目、ノーリービッグスピンバックサイドテールスライドをメイクし86.07点を獲得。
池慧野巨/スイッチキックフリップフロントボード
4本目、ハンドレールでスイッチキックフリップフロントサイドボードスライドを決め、85.23点を獲得。
この時点で4本高得点を揃え、暫定トップにつける。
暫定トップで迎えた5本目、ハンドレールでノーリーバックサイド180スイッチフロントサイドフィーブルグラインドを狙うがミス。
しかし5本目で誰も池の得点を越えることができず、そのまま優勝。
終わってみれば、誰よりもトリックの引き出しの多さとメイク率が勝敗を分けた形となった。
【次世代の動きを見せた/田渕利來】
田渕利來/バックサイドKグラインドノーリーフリップ
予選では滑走1番手でありながら、首位をキープしトップで決勝に駒を進めた田渕利來。
決勝のランでも2本目に、ジャンプボックスをトレフリップ、バンクからのレッジをバックサイドKグラインドtoノーリーフリップアウト、ステアでハードフリップなどを決める。
さらにハンドレールでキックフリップバックサイドリップスライド、連続ステアでフェイキーフリップ、スイッチヒールフリップのコンボをメイクすると、最後にはレッジでバックサイドノーズスライドからのビッグスピンアウトまでフルメイク。
ランの強さを見せつけると84.03点を獲得し、ラン2本を終えた時点ではトップでベストトリックに臨む。
田渕利來/ビガーフリップフロントボード
ベストトリック1本目、ハンドレールでビガースピンフリップフロントサイドボードスライドをメイクし、84.23点を獲得。
2本目、バンクからのフラットレールでバックサイドフィーブルグラインド 360キックフリップアウトを完璧にメイクし、75.90点を獲得。
3本目、ステアでオーリーレイトフリップをメイクし73.57点を獲得。
この時点で早々に4本得点を揃えて有利な展開になる。
暫定2位で迎えた4本目、ハンドレールでバックサイドKグラインド ノーリーフリップアウトを狙うがミス。
ふたたび暫定2位で迎えた5本目、優勝を狙うために田渕が選んだトリックはジャンプボックス脇のレッジで、トレフリップからのフロントサイド50-50グラインド。
惜しくもリアトリックがかかりきらず、0点に終わったが見事にJSL最終戦で準優勝を飾った。
【トランジション攻めまくり!/村上涼夏】
村上涼夏/フロントサイドウォールライド
予選ではフルプッシュからのエアを見せて会場を沸かせた村上涼夏。
決勝でもその勢いは衰えなかった。
決勝のラン2本目、トランスファーのアーリーウープフロントサイドオーリー、オーリーからのウォールライド、2段ステアでインポッシブル、キックフリップでバンクイン。
さらにクォーターでフロントサイドエア、レッジでフロントサイドノーズスライド、バンクインからのスラッピー5-0グラインドtoスイッチKグラインドまでを決める。
これで80.83点の高得点を獲得し、ランを終えた時点では2位でベストトリックに臨む。
ベストトリック1本目、キャップを柿谷斗輝のベレー帽に変えて臨んだトリックはケーブマンからのハンドフリップボードスライドだったがこれをミス。
2本目、クォーターから飛び出してバックサイドウォールライドをし、さらにオーリーで隣のクウォーターへのトランスファーをメイク。75.97点を獲得する。
3本目、2本目とは逆サイドのクォーターから飛び出し、フロントサイドウォールライドを狙うもミス。
4本目も同じくフロントサイドウォールライドを狙うも着地でミス。
6位で迎えた5本目では見事にフロントサイドウォールライドをメイクし、80.67点を獲得して3位でフィニッシュ。
何よりも代えがたい仲間たちからの祝福
この日会場だけでなく、出場選手全員を沸かせたのが村上のランディングだった。
【ベストスタイリッシュ賞/原田結衣】
女子特別賞は、高さのあるハンドレールでフロントサイド&バックサイド50-50を決め、バンクからのフラットレールで、キックフリップフロントサイドボードスライドなどを決めた原田結衣が受賞。
原田結衣/キックフリップフロントボード
前日に行われたAJSA女子の部でも優勝しており、これからが非常に楽しみなスケーターだ。
受賞式では「ストリート、パークにとらわれず、誰もやっていないようなスタイルで今後もやっていきたいです」と話した。
原田結衣/バックサイド50-50
他にも今大会は北野朝戸が女子スケーターを代表し、大会に彩りを加えてくれた。
北野朝戸/360キックフリップ
【池慧野巨インタビュー“JSLは日本で一番レベルの高い大会”】
X Games Chiba2024ストリート・ベストトリックでナイジャ・ヒューストン、コルダノ・ラッセルといった最強オリンピアンたちを抑えて初優勝を飾った池慧野巨。JSL最終戦での優勝直後のインタビューをどうぞ
――さっそく優勝の感想をお願いします
「SKIP FACTRYのセクションが変わったばかりで、滑るのを楽しみにしていたんですけど、実際に滑ってみてストリートちっくなセクションが多くてすごく楽しめました」
――今大会の自分の中でのベストトリックは?
「ランの中で途中マニュアル入れたんですけど、コンテストでは今まで入れたことがなかったので、マニュアルを入れたのがベストというか今までの自分の滑りには無かった部分なのでそこが良かったです」
――BIG YEAR GIGのメンツとのセッションはいかがでしたか?
「今回僕が最年長(23歳)だったんですけど、1個2個下くらいの世代の子がみんなぶっ飛んでて、見ててもおもしろかったです」
――X Gamesでの疲れもなく滑れた?
「ちょっと痛いところとかあったけど、滑っちゃえば慣れてくるので特になかったですね」
――ケヤキにとってJSLはどんな大会ですか?
「JSLは正直日本で一番レベルの高い大会かなって感じ。
SLSでも活躍するような根附(海龍)も出ていたし、そういうスケーターたちと戦ってみたいなと思う大会です」
――賞金50万円は何に使いますか?
「(スケートボードで)海外に行く予定もあるので、その資金にしたいと思います」
――ライバルや気になるスケーターは?
「いっぱいいるけど、昔から一緒に滑ってた岸海とか(堀米)雄斗とか、そういうメンツはパートとかも見てるし、意識してますね」
――2028年ロサンゼルスオリンピックは目指す?
「ロスは今はまったく目指す気持ちはなくて、こないだのワールドスケートの大会を最後にという感じ。
まぁ、気持ちが変われば(また変わってくるかも)って感じですけど」
――今後の目標だったり抱負は?
「特にコンテストをやめる気はなくて、招待してもらえる大会とかは出続けて、あとはストリートでのパートを作り続けたい」
――来年度のJSLは?
「JSLには出ときたいですね。
来年はまたみんな上手くなってると思うので楽しみです」
【-BIG YEAR GIG-決勝リザルト】
1位・池 慧野巨-326.30(70.00/38.20/85.00/0.00/86.07/85.23/0.00)
2位・田渕 利來-317.73(74.03/84.03/84.23/75.90/73.57/0.00/0.00)
3位・村上 涼夏-237.47(68.87/80.83/0.00/75.97/0.00/0.00/80.67)
4位・八島 璃央-225.86(41.40/72.23/0.00/82.50/71.13/0.00/0.00)
5位・松本 浬璃-159.60(77.43/21.30/82.17/0.00/0.00/0.00/0.00)
6位・渡邊 星那-157.53(70.40/63.47/0.00/87.13/0.00/0.00/0.00)
7位・山附 明夢-148.54(69.57/33.70/0.00/78.97/0.00/0.00/0.00)
8位・齋藤 吟平-58.63(58.63/43.70/0.00/0.00/0.00/0.00/0.00)
- ()内はスコア内訳
ベストスタイリッシュ賞・原田結衣
写真 文・小嶋勝美
スケボー放送作家。
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