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SPOTSKATEBOARDING/スポットスケートボーディング

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  • 2018.05.02

コラム 本間章郎 第1回:コンテストもカッケーす

こんにちは、本間です。突然ですが、あなたはスケートボードのコンテストに出場したことってありますか?

なんだかコンテストって言うとスケートボードの本質とちょっと違うように感じる人もいるかも知れません。「スケートボードに点数なんてつけられない」とか「優劣をつけるものではない」とかね。

僕はAJSA(日本スケートボード協会)のコンテストMC20年以上やってきたので、日本のシーンの変遷をずっと見続けてきました。今回は、その間の経験からコンテストについて思うことを書きたいと思います。

 

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© Skatepark of Tampa

 

世界のコンテストの“今”

最近、横浜で開かれたINTER STYLEという横乗り業界の大きな展示会に行く機会がありました。その日はちょうど冬季オリンピックのスノーボードのハーフパイプ決勝が開催されていたんです。驚いたのは、どのブースに行ってもノートPCを広げて、目の前の競技をモニタ越しにチェックしている人だらけで「時代は変わったんだな」なんて考えちゃいましたね。

それとはまた別の日に、アメリカのフロリダ州にあるタンパって街で開催されるTampa Pro 2018を中継で視聴していました。日本からは堀米雄斗選手が出場し、世界の名だたるプロライダーが集結したなかで、なんと予選をトップで通過! 日本中のスケート好きが「ひゃー」ってなったんじゃないでしょうか。LIVE中継なので、日本では早朝の放映。寝不足になった人も多いかと思います。

Tampa Proは今年で24回目。歴代の優勝ライダーは、誰もが知る世界のトップライダーたちがズラッと顔を並べています。スケートシーンをつくってきたライダーも、カルチャーの礎を築いたライダーも、ジャッジやスタッフで関わっているケースが多く、レジェンドとなった今でもシーンに貢献しているのがビシッと伝わってきます。

コンテストのクオリティも凄まじいものです。コンテストとして有名なStreet League SkateboardingX-GAMEよりも“現場感”を感じるコンテストで、アップカマーからレジェンドまで、じつに多彩なメンツが集まるのがおもしろい。毎回、考え抜かれたセクションで世界のトップたちがスキルとスタイルをぶつけ合う。まさにセメントマッチの様相です。賞金も立派なものですが、賞金というよりは名誉、いやお互いのスタイルを高いレベルで見せ合える場を求めて、ライダーたちはTampa Proに集結するように思えます。

また世界では、World Cup SkateboardingFISEなどのフェデレーションコンテスト、さらに飲料メーカーなど企業が主催する大規模なコンテストもあります。寒い冬が終わって春になると、世界中でコンテストシーンがスタートして、今回はどれに注目しようか、いつも頭を悩ませてしまいます。

 

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© PARTY103 HIDE

 

変化する日本のコンテスト

僕はAJSA(日本スケートボード協会)のコンテストMC20年以上やってきたので、日本のシーンの変遷をずっと見続けてきました。また、街のローカルスポットで何十年も滑っていたこともあって、スケートシーンの色々な側面を見てきた気もします。

僕が最初にAJSAMCで参加させてもらった時には、会場に野宿でBBQ。死ぬほど呑んで朝日とともに目が覚めて、セクションのチェックやコンテストの準備がはじまる。今思うとかなり過酷なミッションでした。

アマもプロもローカル仲間や代理店の車に同乗して日本全国から会場にやって来ていたんですが、九州から山形にヒッチハイクで来る選手や、沖縄から横須賀まで自転車で来る選手なんかもいましたね(笑)。

スケートボード以外でも魅力的な人間が集まっていました。僕はMCなんで参加選手全員のライディングを見ます。スケートボードのライディングにはスタイルだけでなく個性や性格もにじみ出ちゃうので、はじめて会った選手もなんだか身近に感じてしまいます。しかも、だいたいのコンテストは土曜・日曜の2日開催なので、多くの選手はコンテストが開催される街で二泊する。いや泊まるというより、その街で過ごすのです。ホテルを予約しても夜遊びに出て、結局寝ないでそのままコンテストに来る、なんて選手も珍しくない。全国から集まるスケートボーダーたちが集い、呑み、話し、笑い合うことが楽しくてしょうがなかったのです。そこで日本中のローカルへのネットワークを広げ、インターネットではない自分でつくったスケートネットワークを築けたのです。

もちろんコンテストも本気ですから、呑みすぎても手を抜く人はいませんでした。バーティカルランプのトップからフラットバンクに飛び降りる選手や、ただひとつのトリックをメイクするためだけに長距離を移動して参加する選手、キックフリップとウォールウォークの点数の違いにクレームを入れてくる選手もいました。それを観るギャラリーたちも選手やその仲間が多かったのもあって、そういうパフォーマンスの意気込みがストレートに伝わって、「記録より記憶に残るライディング」という名言がAJSAのコンテストから生まれていくのです。あ、その言葉のオリジナルはAJSAじゃないかもしれませんが(笑)。

ピーク時にはアマチュア選手200人以上、プロ選手も80名くらいのエントリーがありましたが、ブームの興隆やシーンの変遷もあって、コンテストも大きく様変わりしていきます。ノリやスタイルよりも、絶対的な実力やスキルが評価基準に変わり、コンテストが変われば参加選手も変わってきます。世界の大きな流れもあって、現在はみなさんが目にするコンテストシーンが中心となって次世代のライダーたちの登竜門となっています。

 

日本に世界基準のコンテストが集まる

時差の関係で超早起きして観たTampa Proの表彰式に驚きました。賞金を観客に撒いちゃう選手や、名前を呼ばれても表彰台に来ない選手、予選番長(予選は良くて決勝ダメ)やミラクル先輩(実力以上のライディングを出す)もいました。コンテスト終了後には、協賛企業から提供されたTシャツやデッキ、シューズが次々にギャラリーに投げ込まれます。目をぎらつかせてひとつでも自分に投げてもらおうと必死のキッズやおばさんがいたり、わざとそういうところに投げるフリして別の場所に投げるスタッフがいたり。これなんか20年前の日本のシーンのアツさそのままじゃん? って思いましたね。

裏話しになりますが、AJSAではコンテスト後の協賛品の投げ入れやライダーのデッキを投げ入れたりすることは現在ほぼ行われていません。理由は「協賛品やライダーのデッキなどをローカルのギャラリーにあげちゃうと地元のショップの●●が下がる」とクレームがあったからです。あと「スケボー持って帰るの面倒くさいから投げちゃえ」っていうスタイルの選手が減ったから。でも、世界の最先端のTampa Proがそうならば、いつか日本にもまたその波が来るかも知れません。個人的には来てほしい。

世界中のフェデレーションもオリンピックTokyo2020に向けて、日本のシーンに注目しています。今年はいくつかの世界基準のコンテストが日本で開催されるでしょう。スケートボードに少しでも興味があったら、一度はコンテストを生で観てほしいと思います。オシャレなカルチャーメディアには、コンテストの情報はなかなか出てこないので少し探しづらいかもしれませんが、アンテナ張って見つけてください。僕はそんな“探し期間”もかなり楽しいと思います。

コンテストは、イケてるのかダサいのか、古いのかこれからなのか。僕はいろいろな側面からずっとコンテストに関わってきましたが、良いのか悪いのかというよりも「出たい人はがんばって出る、出たくない人は関わらない」ってことに尽きます。

あと、インタビューでも話したけど、HIBRIDの早川大輔たちと会社をつくって、アメリカのDamn Amを日本で開催します。ここで勝つと、Tampa Amに出れて、そこからStreet League Skateboardingにも出れる。日本のうまいやつをアメリカのシーンのど真ん中に送りたいと思っています。

コンテストがダサいと思っている人のなかには「ヘルメットかぶるの嫌」とか「キッズばかりでカッコ悪い」とか言う人もいますが、Damn Amのようにノーヘルのコンテストもあるんです。そうなると、ダサいとかの言いわけはきかないですよね。

 

 

スポーツなのかカルチャーなのか、アートなのか遊びなのか、関わり方でスケートボードは自在に変化します。日々ストリートで研鑽を積んでいる人も、全国で開催されるコンテストを制覇しているような人も、お互い一枚のデッキに4つのウィールが付いた乗り物に乗っているだけなんです。そこから生まれる楽しさや達成感やスタイルや連帯感や満足感など、すべては自分から生まれたもの。自分は分かっても誰かに説明するのは難しいですし、誰かは誰かで自分でそれをつくればいい。誰かのマネをする必要はありません。

誰でも自分しか分からない“楽しさ”をつくり出すことができるのがスケートボードなのです。必ず乗り越えられる自分に合ったハードルや、ちょっとしたケガでの休息も、そこから先、自分で“楽しさ”をつくり出すエッセンスのひとつとなるに違いありません。ある人にとっては、コンテストもそのエッセンスを秘めているでしょう。スケートボードには色々な魅力と楽しみ方があるんです。

 

【プロフィール】

本間章郎 Akio Honma

東京都世田谷区出身。1980年代の第二次スケートボードブーム時からスケートボードに乗りはじめる。1995年、千葉県浦安市にスケートショップ「instant」を設立し、現在は吉祥寺店、千葉店、お台場店の4店を構える。日本スケートボード協会の競技委員としてコンテストのメインMCや審査員を担当。独自の視点でスケートボードの魅力を伝え続け、スケートボード愛好者の増加に努めている。

 

  • TEXT BY

    本間 章郎

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