INTERVIEW:笠井孝至 超地域密着型スケートショップ
2018.05.30
まさかこんなところにスケートショップがあるとは思わなかった。小さな商店街の中にひっそりとあるSCLARCH(スクラーチ)は、ローカルスケーターに愛されるショップだ。気さくなオーナーと、飾らない店構えで、一度足を運ぶと何だか居心地が良くついつい長居してしまう。そんな不思議なショップのオーナー、笠井孝至に話を聞いたてみた。
ー お店の紹介をお願いします。
京都府八幡市にあるスケートボードとアパレルのお店です。ちょうど大阪と京都の境目ですね。
ー SCLARCHって変わった場所にあるよね。はじめての人はたどり着けないんじゃないかな。
たどり着いてもらえないですね(笑)。もともとは小さな商店街の中にあった服屋さんなんです。オーナーの方がお店を継いでくれる人を探してたみたいで、じゃあ半分は服屋、もう半分はスケートショップにしていいですかって聞いたら、いいよって。
八幡は、京都と言っても郊外にあるから、夜中にやんちゃな子たちがバイクで走り回ってたり、怖い人多いしってイメージはあるかも。あんまり落ちついたところじゃないですよね(笑)。
僕自身は徳島出身で、京都の大学に行きながらスケートボードとかヒップホップをしてたんです。だから、ラップやってる子とかもよく来てくれますね。
ー お店は順調?
そうですね! 今、4年目なんですけど、おかげ様で少しづつ売上も伸びてきていい感じです。オリンピックの影響かどうかは分かんないけど、最近はスケートはじめたいって子も増えてて。小さい子がお父さんやお母さんに連れて来てもらったり。
通販もやってるんですけど、よく売れてるのはオリジナルのアパレルやここでしか置いてないブランドとかですね。
ー めっちゃアットホームな雰囲気ですね。ローカル色も濃い(笑)。
この店、なんの宣伝もしてないので、99%口コミなんです。だから、せっかく来てくれるお客さんのために、できるだけ店を開けておきたくて。110連勤なんてこともありましたね(笑)。あまりの忙しさに、2年前に家で気絶したことがって。夜、病院行ったら白血球の数が異常で即入院って言われて、次の日の昼まで点滴打って、退院したその足で店に行ったこともありましたね。店の机の下に、いつ吐いてもいいようにバケツ置いてね(笑)。
僕はそんなにスケボーが上手いわけではないし、デザインができるわけでもないし、バリバリ営業ができるわけでもない。たくさん人が協力してくれてるからこそ、SCLARCHがあるんです。自分ができるところまで、本当に必死に努力してたら人は付いてきてくれるんかな、って思ってます。
将来の夢は、自社ビル構えて、大勢のギャル引き連れて歩くことなんで(笑)。
ー SCLARCHがサポートしてるライダーはいる?
大阪のツカオさん、京都の中澤克哉、の2人です。克哉は24歳、めちゃくちゃオーリーが高くて京都でもちょっとした有名人ですね。2人とも僕が何も言わなくても、率先してお店の営業活動してくれてます。
ー スケートしてる子たちにとって、スポンサーって憧れだと思うんだけど、どうやったらこのお店のライダーになれる?
どうなんですかね~。僕はただスケートが上手いってだけじゃなくて、中身がおもしろそうなのを選んでます。スケーターも、スケートボードから降りたら普通の人なんでね。
たとえば克哉は、オーストラリアで金がなくて魚釣って食ってたり、韓国で無一文になってもスケートボードだけで金を稼いだり。あ、コイツおもしろいって(笑)。そうゆうとこかな。今は女の子でスケート上手い子いないかなー、って思ってますね。
韓国武者修行中の克哉
一銭も持って行かず賞金稼いでなんとか暮らしてるようです。 pic.twitter.com/erwxK1kmF7— SCLARCH (@sclarch1) 2018年5月28日
ー お店やっててよかったなぁって思うことある?
いっぱいありますね! 今まで不登校だった子がスケートはじめてから学校に行けるようになったり、まったく友達のいない子がスケートをきっかけにしてできたりとか。すごく、うれしいですね。あと、不良がスケートに乗って更生するっていう鉄板パターンも多いですよ。
これは持論なんですけど、不登校の子も、街の不良も、みんな自分の現状や存在意義みたいなものを行動で表してるんだと思うんです。だから、スケートボードみたいに自分を表現できるものってすごくいいなって思います。
僕自身も病気持ちなんで、同じ空気を感じて集まって来てくれてるのかも(笑)。
ー これからスケートはじめてみたいと思ってる子たちに、その魅力を教えてもらえますか?
やっぱり出逢いですね。スケートに乗ってたら、いろんな人に出会えるし、友達も増えるし。人は人を通じて磨かれるからね。パソコンやスマホじゃ磨かれないんで。
最初は難しいし、ケガもするし、途中でやめちゃう人もいるけど、その楽しさに気づくとずっと続けていけると思います。
■ 店舗情報
SCLARCH(スクラーチ)
京都府八幡市男山竹園2番地A2-104
連絡先:075-982-8266
営業時間:10:00〜19:00